石川県能登町。耕作放棄地だった土地を開墾し、現在約2.5haの畑でブドウを育てる「CHATEAU KNOT(シャトー・ノット)」。メルロを主体に、ピノ・ノワール、カベルネ・フラン、ヤマ・ソーヴィニヨン、ツヴァイゲルト、シャルドネ、アルバリーニョなど、多彩な品種を栽培しています。その始まりは、工学部出身の二人の仲間が交わした「いつか一緒にものづくりをしたい」という思いでした。社会人になってワインに魅了された二人は、やがて能登の地で、自らブドウを育てる道を歩み始めます。
Vol.29 大谷内 行也さん(前編)
「いつか一緒にものづくりを」二人の思いから始まったワイン造り
CHATEAU KNOTを立ち上げた大谷内行也さんと村岡明さんは、ともに工学部出身。学生時代から、ものづくりを通じて「いつか一緒に何かをしたい」と話していたといいます。社会人になってから二人ともワインに夢中になり、さまざまなワインを飲み重ねるなかで、特に惹かれていったのがフランス・ボルドーのポムロールでした。
そしてある日、居酒屋で交わした「ワインを造るか」という一言。学生時代から温めていた「一緒にものをつくりたい」という思いと、二人が好きになったワイン。その二つが重なり、ワイン造りへの一歩を踏み出すことになります。
「日本でポムロールを造る」
これが二人で掲げたワイン造りの目標でした。能登の耕作放棄地を開墾し、自らブドウを育てる。二人のものづくりへの思いは、やがてこの土地でのワイン造りという形になっていきました。
能登の耕作放棄地をブドウ畑へ
ワイン造りを始める条件が整ったことも、大きなきっかけでした。能登には活用されていない耕作放棄地があり、ちょうどその頃、大谷内さんの父親が定年退職を迎え、Uターンして第二の人生を歩もうとしていました。土地があり、父親が戻ってきた。そして、好きなワインを仕事にする機会が重なった。
「タイミング的にも良かったのかもしれない」
そんな偶然が重なり、能登の地でブドウ畑を始めることになりました。畑はもともと0.7haからスタート。その後、隣接する土地を買い足し、現在は約2.5haまで拡大しています。さらに別の土地にも植え付けを進めており、将来的には現在の規模を倍にする計画です。
ポムロールを目指して選んだ、能登の赤土
CHATEAU KNOTが特に注目したのが、能登特有の土壌でした。能登地方に広がる赤土は、粘土質で、水分を抱える力を持つ土壌です。二人が目指していたポムロールと同じ土壌になるわけではありません。しかし、粘土質の土壌を見たとき、「目指すワインに合うのではないか」と考え、畑の開墾を始めました。
現在はメルロを主体に、ピノ・ノワール、カベルネ・フラン、ヤマ・ソーヴィニヨン、ツヴァイゲルトを栽培。白品種ではシャルドネとアルバリーニョにも取り組んでいます。
アルバリーニョについては、能登を代表する品種の一つになってほしいという思いもあります。近隣の生産者も栽培していることから、能登一帯でアルバリーニョを育て、その土地の魅力を伝える品種にしていきたいと考えています。
「日本でポムロールを」その先に見えてきた日本ワイン
最初は「日本でポムロールを造る」という思いから始まったCHATEAU KNOT。しかし、ワイン造りを続ける中で、二人の日本ワインに対する見方も変化していきました。さまざまな日本ワインを飲み、生産者と出会う中で、日本ワインそのものの魅力を実感するようになったといいます。
目指すのは、ポムロールの魅力である「凝縮感や嫌味のない甘み、長い余韻」と、日本のワインが持つ「旨味や清らかさ」これらの組み合わせの中間地点のような味わい。能登の土地で、いつか「日本一、世界一美味しいワイン」を造る。その挑戦は、まだ始まったばかりです。
CHATEAU KNOT(シャトー・ノット)
・ウェブサイト:https://chateauknot.jp/
・Instagram:https://www.instagram.com/chateauknotwine/
・Youtube:https://www.youtube.com/@ChateauKnot
大谷内 行也(おおやうち ゆきや)
千曲川ワインアカデミー7期生。CHATEAU KNOT(シャトー・ノット)を共同で立ち上げ、ワイン造りに取り組む。大阪大学工学部を卒業後、ケンブリッジ大学で工学系の修士課程を修了。現在も会社員として働きながら、能登町でブドウ栽培とワイン造りを行っている。能登の赤土に着目し、メルロを主体としたブドウ栽培を進め、将来は自家醸造を目指している。

