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Vol.27 本多 雅人さん 本多 立樹さん(後編)

食材豊かな石川の料理に寄り添うワインを目指して

ヴァン・ド・ラ・ボッチでは、19品種のブドウを栽培していることを生かし、単一品種の個性だけではなく、ブレンドによる味わいづくりを大切にしています。

「僕たちはブレンドをして味を仕上げていくタイプをとります。」そう話すのは、雅人さんです。一つの品種だけが突出したものよりも、それぞれの品種の苦味や膨らみ、甘やかな香りが一つにまとまることで、色々な料理との相性の幅が広がると考えています。

目指しているのは、石川県の豊かな食文化に寄り添うワイン。金沢をはじめ石川県は、日本海の新鮮な魚介や加賀野菜、山の幸など、全国でも屈指の食材に恵まれた地域です。立樹さんも、「この土地で造る意味は、地域の食文化と一緒に楽しんでもらえることだと思っています。」と話します。畑で育てたブドウが、地元の食卓や飲食店で楽しまれる。そんな日常の風景を思い描きながら、ヴァン・ド・ラ・ボッチは一本一本のワインを仕上げています。

誰もが関われるワインを目指して~ラベルに込めた工夫~

ヴァン・ド・ラ・ボッチのワインを手に取ると、まず目を引くのが親しみやすいイラストです。これを描いているのは、次男の響さん。白ワインには水の生き物、赤ワインには陸の生き物、ロゼには両生類というテーマで、一つひとつ描かれています。さらに特徴的なのが、ワイン名ではなく数字で管理しているシリーズ名です。

「うちの子が箱詰めするときに、『2024年のソーヴィニヨン・ブラン』と言っても分からないので、『24番』と言えば分かるようにしたんです。」

近隣の障がいのある方々が作業に参加することも想定し、「ピンクのお魚」「青いタコ」といったイラストでも識別できるよう工夫されています。

「数字が分からない子もいるので、絵でも分かるようにしたんです。機能性で考えたんですけど、それがうちの個性にもなっています。」

ラベルは単なるデザインではなく、誰もが自然にワイン造りへ参加できるための”仕組み”でもあります。ワインを飲む人だけでなく、造る人、包む人、届ける人まで、多くの人が関われるようにしたい。その想いが、一本一本のラベルに込められています。

「『ボッチさんのワインだ』と分かる一本を造りたい。」

雅人さんがこれからの目標としているのは、ワイナリーの個性を表現した一本を生み出すことです。料理に寄り添うという軸は変えず、味わいそのものがヴァン・ド・ラ・ボッチのアイデンティティとなるワインを完成させたい。その一本ができた時、「この子に代を譲っていいと思います」と笑顔で語ってくれました。

「誰かの手と手がつながっていくのが、会社としての良い方針なのかなと思います。」

立樹さんが描く未来像は、ワイナリーを地域の人々が集う場所に育てること。石川県でワイン文化を広げるために、イベントやスパークリングワインなど新たな挑戦にも取り組みながら、人と人とのつながりを生み出していく。その先に、障がいのある方が「ここで働きたい」「ここを利用したい」と自然に集まる場所になることを目標にしています。

農福連携という未来へ。ワイナリーを人が集う場所に

ヴァン・ド・ラ・ボッチが創業当初から描いてきたのは、障がいのある方が働き、生き生きと過ごせるワイナリーです。現在も近隣の障がいのある方に、レインプロテクションの設置や取り外しなどの作業を依頼しています。雅人さんと奥様は将来、グループホームのような施設を併設し、そこから畑へ通って働ける環境をつくることを目標にしています。

一方、立樹さんは栽培だけでなく販売や地域でのワイン文化づくりにも力を注ぎ、ワイナリーをきっかけに人や地域がつながる場を育てたいと考えています。石川県でワイン文化を広げることが、やがて障がいのある方が自然に働ける環境づくりにもつながっていく――。それこそが、ヴァン・ド・ラ・ボッチが目指す未来です。

Vin de la bocchi farm&winery
・ウェブサイト:https://labocchi.jp/
・Facebook:https://www.facebook.com/LabocchiVDB/
・Instagram:https://www.instagram.com/p/BxG0Tpcgrko/

本多 雅人(ほんだ まさと)

千曲川ワインアカデミー1期生。「Vin de la bocchi farm&winery(石川県金沢市俵町)」栽培・醸造責任者。家族の未来を考えたことをきっかけにワイナリー設立を決意し、2016年に4haの畑へ約1万本のブドウを定植。2020年に醸造所を設立した。農福連携による誰もが働ける場づくりという未来を奥様と一緒に描いている。

本多 立樹(ほんだ りつき)

千曲川ワインアカデミー6期生。「Vin de la bocchi farm&winery(石川県金沢市俵町)」栽培・醸造担当。2016年の植樹から畑づくりに関わり、2017年より本格的に家業へ参加。現在はブドウ栽培を中心に、醸造や販売にも携わっている。家族で始めたワイナリーの未来を担う存在として、ワイナリーを地域の人々が集う場所に育て、障がいのある方が「ここで働きたい」と自然に集まる場所になることを目標にしている。

日本ワインなび主宰/レコール・デュ・ヴァン講師 田口あきこ
(取材/文 日本ワインなび主宰/レコール・デュ・ヴァン講師 田口あきこ)