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Vol.23 上田 俊彦さん(後編)

ワイン造りをやっていて嬉しかったこと

ワイン造りに取り組む中でとりわけ嬉しいのは、お客様が上田さんのワインをコミュニケーションの中心にしてくれる時だそう。
「ワインはコミュニケーションツールとして最強なんですよね。自分でワインを造ってみてすごく実感しました。例えば、お店でティスティング会を開いてくれたりとか、招かれて行った時にお客様との会話とか、表情とか、『getta winesさん大好きなんです!』とか、『うま!』とか目の前で言われた時とか、すごい幸せな気持ちになるじゃないですか。そのコミュニケーションの中心に自分のワインがあるっていう、鳥肌立つくらいゾクゾクするような出来事って改めて思いました。」

ワインはコミュニケーションツールとして活用される機会も多い。上田さんがワイン造りの世界に入ったのはこのこともきっかけの一つだったという。

getta winesの特徴

getta winesでは単一品種のワインもあるが、基本的にはフィールドブレンドが多い。その年に穫れたブドウの収量でセパージュが変わる。「その年の味」というようなものを毎年作り出したいと上田さんは考えている。

「ブドウの味を造らなくても、その土地のワインを造れば僕はいいと思うので、一切何もせずに、たまたま縁があって授かった土地なので、全く手を加えずにそのまんまで作ったブドウをそのまんま醸したらこうなりましたっていう、それが評価されればいいし、評価されなくてもいいし。」

今回の取材を通し、上田さんのワインは単に嗜好飲料ではなく、芸術的要素も秘めていると改めて感じることになった。

2024年ヴィンテージのラインナップ(2025年内発売予定)

①rouge(赤)
②blanc(フィールドブレンド白)
③macération(フィールドブレンド白/マセラシオン)
④sauvignon blanc(白)
⑤pinot gris macération(マセラシオン)

2024年は栽培的には難しく、2023年よりも収穫量が落ちた。2024年はずっとダラダラと暑い日が続き、例年のように夜温が下がることもなく、メリハリのない気候だったという。それ故にブドウがいつ成熟すればよいか分からなくなり、なかなか成熟しなかった。しかし、虫が来たり、病気が蔓延したりするので、いつまでも待つわけにはいかず、ある時期に収穫せざるを得ない。

「良年の2023年に比べると骨格の細いヴィンテージになったかなと思います。」と、上田さんは苦笑いしながら話してくれた。

ワインはその年の気候を映し出す飲み物。2024年のようなヴィンテージのワインを開ける時は、いつもより一層、生産者の方たちがブドウをケアしてきた苦労に感謝して、大切に頂きたい。

2027年にワイナリー完成を目標に

2024年に予想通りブドウが収穫できていれば、上田さんは2026年にワイナリーを建てようと思っていた。しかし、実際には予想していたほどの量が収穫できず、ワインは2,000本弱となった。それで資金計画的に難しくなり、現在では2027年のワイナリー建設を目標にしている。

getta wines
・ウェブサイト/オンラインショップ:https://gettawines.stores.jp
・Instagram:https://www.instagram.com/getta_wines

上田 俊彦(うえだ としひこ)

千曲川ワインアカデミー4期生。東京都出身。長野県小諸市の糠地地区、通称「ゲッタ」と呼ばれる標高900m前後の場所で2020年からブドウ樹を定植。ビオディナミ農法を取り入れ、無施肥、不耕起、無化学農薬の有機的な栽培を行っている。

日本ワインなび主宰/レコール・デュ・ヴァン講師 田口あきこ
(取材/文 日本ワインなび主宰/レコール・デュ・ヴァン講師 田口あきこ)