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Vol.21 安孫子 尚さん 山岡 剛さん

グローバルビジネスを経験した2人が共同経営するワイナリー
ドゥ モンターニュ タテシナ(立科町)

ワイナリー「ドゥ モンターニュ タテシナ」の正面で、
山岡さんと安孫子さん

「ドゥ モンターニュ」はフランス語で「2つの山」を意味します。東信地域で馴染み深い2つの山:浅間山と蓼科山が視界に入る立科町牛鹿町に、千曲川ワインアカデミー(以下アカデミー)卒業生2人が立ち上げたワイナリーです。アカデミー2期生の安孫子尚さんと5期生の山岡剛さんが共同で経営しています。2023年9月に醸造免許を取得して開業、安孫子さんのワイン4,000本を仕込みました。

2024年は自家醸造ワインの初リリース、併設のショップオープン・・・

ドゥ モンターニュ タテシナでの初仕込みは2017年に定植を開始した安孫子さんの7年目の2023年ヴィンテージ。今年6月ごろに白ワインのリリースを予定しています。6月にはワイナリー併設のショップがオープン予定。ワインの試飲、購入ができるようになります。
また、5月25日に小諸駅前停車場ガーデンで開催されるKOMORO WINE DAYSにも出店を予定しています。安孫子さんの、委託醸造による2022年ヴィンテージの赤1種・白1種を味わえます!
山岡さんの圃場「MC’s Vines」では、4月20日から植栽を、秋には収穫のお手伝いを募集しています。詳細は山岡さんのFacebookをご覧ください。
Facebook:https://www.facebook.com/tyamaokamcsvines

ワインぶどう生産者2人の共同ワイナリー経営

株式会社ドゥ モンターニュ タテシナは安孫子さん、山岡さんの2人が代表取締役を務めています。共同でのワイナリー設立は安孫子さんのアビーズバインズを手伝いに訪れていた山岡さんへの安孫子さんからの提案でした。
ワインづくりに着手するまで20年をかけて準備していた元外資系金融マンの安孫子さんは、ワイナリー設立に関しても熟考のうえ、黒字にすること、継続することを念頭において単独ではなく共同での設立が最善の施策と考えていました。
「ワインを作るだけなら委託醸造でもできる。しかし良いぶどうを良い状態で醸造するためには、ぶどうの状況を見ながら臨機応変に醸造アプローチを変えられるよう、自分のワイナリーを持つことが必要。しかし費用面を考えると単独では難しい。」と安孫子さんはパートナーとの出会いを待っていました。
山岡さんは安孫子さん同様、外資系金融機関勤務時代にワインを楽しむ機会に恵まれ、その経験からワインに関わる仕事をしたいと模索していました。軽井沢に移住後アカデミーを受講、当初はワインの販売に携わろうとワインエキスパートの資格、輸入販売免許を取得しました。安孫子さんとは金融マン時代に先輩を通じて知り合ったそうです。お手伝いで訪ねたアビーズバインズで、安孫子さんの「共同でワイナリーをつくろう」という誘いを受けとてもうれしかったと振り返ります。

ワイナリー内部は動線が明快
樽の貯蔵スペース

ドゥ モンターニュ タテシナの強み

安孫子さんのアビーズバインズは千曲川の左岸、立科町の標高690~720mにあります。重粘土質の特徴として、根が伸びづらく、ぶどうがゆっくり成長するため、果実に深みが出るそうです。黒ぶどう2種(ピノ・ノワール、カベルネ・フラン)と白ぶどう3種(ソーヴィニヨン・ブラン、セミオン、ピノグリ)を栽培。1.5haに約4,000本を2017年から2021年までかけて定植を完了しました。
一方山岡さんの畑は千曲川右岸、浅間山の麓である小諸市の標高850~900mで、0.7haに黒ぶどう2種(ピノ・ノワール、メルロー)と白ぶどう3種(ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、シャルドネ)を栽培中。マルベック、カベルネ・フランなどの定植も予定しています。2つの違うテロワールで栽培しているため、同じピノ・ノワールでも仕上がりに違いが出るはず。一つのワイナリーで同じ品種でも2つのテロワールのワインを楽しんでもらうことができるのです。
作業面でも大きなメリットがあります。テロワールの違い、特に標高の差によって圃場での作業に時間差ができるため、お互いの作業を手伝うことができます。醸造においてもタンクを効率的に使い回すことができるのはメリットです。2025年には初植栽から9年目を迎え、すべてのぶどうが成木となる安孫子さんと、初収穫を迎える山岡さんのぶどう1,000本を加えて、約1万本を仕込む予定です。
ワイナリー内部は限られたスペースながら動線が明快で、非常にスッキリした印象です。南面からぶどうを搬入し、ワイナリー正面である北側からワインを搬出するため、南北両面にシャッターが設置されています。南側に除梗破砕機、搾汁機が配置され、タンクが並びます。その奥に樽の貯蔵スペース、瓶詰めスペース、搬出口へと続きます。

6月にオープンするショップ内の試飲コーナー
安孫子さんのワインボトル

美味しいワインは健全なぶどうを作ることから

仕込みのジャッジメントや作業は2人で協力して行いますが、栽培はそれぞれ100%独自に行っています。共有している思いは「美味しいワインをつくるためには健全なぶどうをつくること、そうしてできたぶどうをタイムリーに収穫して仕込みをすること。」
安孫子さんが圃場を1.5ha、4,000本以上に増やさないのも、良いぶどうを作るための限度と考えるからだそうです。「出来の悪いぶどうは、醸造に手をかけても普通のワインにしか仕上がりません、決して“良いワイン”にはならない。」昨年2023年はとても良いぶどうの出来だったので、初自家醸造となる2023年のヴィンテージのワインは期待できると安孫子さん。リリース情報を楽しみに待ちましょう。

黒字にすること、継続すること〈マーケティング〉

2020年初リリースのアビーズバインズ2019ヴィンテージは800本、知人やボランティアの方々で売り切れました。2021年2,500本、2022年3,200本、2023年4,000本と増えるに従い、県内の酒屋や飲食店にも販売ルートを開拓、軽井沢のホテルや東京の飲食店での注文やリピートが増えてきました。今後は首都圏での営業も視野に入れ、県内外で開催されるワインのイベントにも参加を予定しています。
海外の歴史あるワインもたくさん飲んできたお二人に、ドゥ モンターニュのワインのマーケティングについてうかがいました。
ワイン消費者を5つにカテゴリー分けし、ドゥ モンターニュ タテシナの見込み客がどのタイプかを予測。30〜40代を中心とした3,000円近辺のワインを購入するタイプ、輸入高級ワインを飲むタイプ、日本ワインを好きなタイプなど見込み客の動向を研究し、選ばれ続けるワインをつくってアプローチしていくことを目指します。好まれるワインづくりと効率的な経営・販売戦略を立てています。

また、「質×価格×マリアージュ」の3つの要素のバランスが大切とも考えています。歴史があり安い人件費でワインづくりができる欧米に価格では勝てないかもしれませんが、日本の食事に合うワインという観点で日本ワインは有利なポジションに立てます。日常口にする家庭料理、例えば焼きとりや肉じゃがなどの食事にマリアージュすることがワイン選びの決め手となって、販売量を増やすことにつなげられるはず、というのが2人の考えです。

Facebook
・ドゥ モンターニュ タテシナ:https://www.facebook.com/profile.php?id=61554917876793
  ※HPは現在制作中
・安孫子 尚さん:https://www.facebook.com/profile.php?id=100036867501354
・山岡 剛さん:https://www.facebook.com/tyamaokamcsvines
  ※4月植栽の募集があります

取材日:2024年3月14日

安孫子 尚(あびこたかし)

日本および外資系の金融機関に勤務、8年常駐した香港でディープにワインを体験、世界のワイン生産地をめぐり、その後訪ねた日本ワインのおいしさに衝撃を受けて「作り手」になることを決めた。2016年2期生として千曲川ワインアカデミーを受講、立科町に移住してぶどう作りを開始した(アビーズバインズ)。2020年に委託醸造によるワインの初リリース、2024年に自家醸造ワインの初リリースを予定しています。

山岡 剛(やまおかたけし)

日本および外資系の金融機関に25年勤務。営業のための社内ワイン会をきっかけに元々好きだったワインに仕事として携わることを目指す。2019年5期生として千曲川ワインアカデミーを受講、軽井沢に移住。2023年に小諸にMC’s Vinesとしてぶどう栽培を始める。2025年初収穫および醸造予定。

(取材/文 ココプロジェ 宮下 ゆう子)