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Vol.13 田村 稔さん

2018年秋に収穫したメルローを仕込む
2018年秋に収穫したメルローを仕込む

田村 稔さんは15年渡り京都でお肉料理店を経営されています。リーマンショックやユッケ事件の影響で、倒産危機に陥った厳しい経験から、お客様をより笑顔にするにはどうすればよいかを真剣に考えるようになりました。そんな中、たまたま立ち寄った本屋で、玉村 豊男さんのワインの記事を読んだとき、「これだ!」と鼓動が高まり、いても立ってもいられなくなったそうです。

田村さんはお肉料理に合うワインを作りたいと、千曲川ワインアカデミーに入学し、長野県上田市にヴィンヤードを構えます。週末は京都に戻ることが奥様との約束なので、今は2つの拠点を往復する多忙な日々を送っています。

畑からのパノラマ風景
畑からのパノラマ風景

長野に行く決意を伝えたとき、奥様からはあまり反対されませんでした。むしろ土地選びのときには来てくれて、千曲川左岸に位置する標高650mからの眺望 ― 東信州の山々を一望できる広大で抜けた景観をとても気に入ってくれたそうです。また、つい先日の収穫のときには、飛び跳ねるように喜んでくれた姿が印象的だったそう。夫婦でワインを飲むことが好きな田村さんは、自分のつくったワインを奥様が飲んだらどんなコメントをくれるだろうか?ということが一つのモチベーションになっています。

奥様の支えがあってこそ
奥様の支えがあってこそ

ワインアカデミーを卒業して、就農一年目のとき、農作業中に重機の下敷きになるという大事故に合ってしまいます。人里から少し離れているため、なかなか誰にも気が付いてもらえず、血の気が引いていくのが分かり死ぬかもしれないと思ったそうですが、なんとか地元の人たちに助け出され、九死に一生を得ます。重傷を負った田村さんはドクターヘリで搬送され、3カ月の入院を余儀なくされます。京都から直ぐに駆けつけてきた奥様に「お父さん生かされたわね。」と言われた一言が、今でも心に残っているそうです。

リハビリ時の田村さん
リハビリ時の田村さん

重症を負った田村さんですが、ワインづくりに対する情熱は全く揺らぐことはなく、むしろこのままでは終われないと思いました。しかし時期は農繁期。動くことのできない田村さんをサポートしたのは、ワインアカデミー同期生の皆さんでした。入れ替わり立ち代わり農作業を進めてくれたのです。退院直前に、同期生が軽トラでヴィンヤードに連れてきてくれたのですが、しっかり管理された畑を見たときの感動は一生忘れられないと語ります。その後同期生と、より親密なコミュニケーションが取れるようになったそうです。この大変な経験を通して得られたのは、掛け替えのない仲間との信頼関係だったのかもしれません。

京都府長岡京市(本店)と向日市に店舗を構える
京都府長岡京市(本店)と向日市に店舗を構える

現在はメルロー、カベルネソービニヨン、カベルネフラン、ソービニヨンブラン、シャルドネ、ピノグリを栽培しています。目指すワインは、お肉料理に合う渋みのあるしっかりした赤ワイン。手を抜くことなく、世に問えるものを作っていきたいと熱く語ります。すき焼きには、果実味のあるピノノワールが合い、焼肉には山ぶどうっぽい酸味の効いたものが合うと、肉料理を知り尽くした田村さんは言います。

お店の名前は「大拙」― 大いなるバカと言う意味です。大バカ者になって、あくなき挑戦をつづける田村さんのファーストヴィンテージは2019年にリリースされます。

千曲川ワインアカデミー1期生。上田市にヴィンヤードを構える。京都で焼き肉の「大拙」を経営。長野と京都を行き来する生活を送る。お肉料理に合う赤品種に特に力を入れている。2019年にファーストヴィンテージをリリースする予定。

(取材/文 アグリマーケティング 田中 良介)

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