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Vol.11 中村 大祐さん

『opportunity』には特別な機会を彩るワインであって欲しいという想いが込められている
『opportunity』には特別な機会を
彩るワインであって欲しいという
想いが込められている

立科町にヴィンヤード「carraria(カラリア)」を構える中村大祐さんは、2017年に地元産シャルドネを100%使用した2種類のヴィンテージをリリースしました。樽発酵の「ファミリア」は優しい味わいと花の香りが特徴で、ステンレス発酵の「オポテュニティ」はキリっと辛口、酸も残っている果実味豊かなヴィンテージです。

もともとは東京でシステム開発や人材育成の仕事をしていましたが、自然豊かなところで暮らしたいと思うようになり、長年勤めた会社を退職します。千曲川ワインアカデミーに通い始めた当初は、まだワインの道に進むことを決めてはいなかったそうです。現実的に自分がやっていけるか判断するために受講した・・・そういう意味では、同期生のなかで最後尾からのスタートだったのかもしれません。

そこで学ぶにつれて、ワインづくりへの道は想像以上に険しいことが分かったと言います。それだけに、今でなければもう二度と挑戦することはないのではないか・・・、熟考の末、中村さんはワイングロワーとして歩むことを決断します。それはアカデミー受講後6カ月以上が経った頃。悔いのない生き方をするための人生の選択でした。

いつかこの地に、小さいながらもこだわりのワインを醸造するマイクロワイナリーを始めたい
いつかこの地に、小さいながらもこだわりのワインを
醸造するマイクロワイナリーを始めたい

立科町は千曲川左岸に位置し、日本百名山の一つ蓼科山の麓に位置する緑豊かな町です。りんごやお米、蓼科牛などの食材に恵まれており、南部の高原地帯には女神湖・蓼科牧場・白樺湖など都会からのリピート客も多い一大リゾート地「白樺高原」が広がります。年間を通して天気がよく、また朝晩の寒暖差が大きいため、ワイン葡萄生産者も徐々に増えてきています。

       

中村さんは、ワインアカデミーを受講していた2015年の秋に立科町を訪れ、とても美しい眺望に惹かれるなど、この町にポジティブな印象を持っていたそうです。そして、その年の初冬、町のワイン葡萄実験圃場を、民間に引き継ぎたいという話を紹介してもらい、これを一つの機会と捉えて、蓼科山と浅間山を望むこの地にヴィンヤードを構えることを決意します。

カラリアハウスから立科町の美しい情景を望む
カラリアハウスから立科町の美しい情景を望む

選んだ場所が本当にワインづくりに適しているのかはやってみなければわからないという心配もありましたが、たとえ100年かかっても、立科町の恵まれた環境を活かしながら、この土地にあった品種を見極めたり、栽培方法を工夫することで、ワイン葡萄の適地にしていこうという意思で事業に取り組んでいます。アルカンヴィーニュに委託醸造で造ったファーストヴィンテージの評価は予想以上で、今後に向けて大きな自信になったそうです。

中村さんは、ピザ窯料理とワインとのマリアージュ会を催したり、ワインを飲みながらの夕涼み野外映画会を開いたりと、さまざまなイベントも企画されています。また、車で来た人にも帰りの足を心配することなくワインを味わってもらいたいと、自宅の一部をリフォームして農林漁業体験民宿「carrari house(カラリアハウス)」を営んでいます。農作業体験をしたあとはワインを堪能し、そのまま宿泊ができます。

想いに賛同していただける方々と一緒に歩めるような場を提供
想いに賛同していただける方々と
一緒に歩めるような場を提供

これらは、近しい価値観の仲間が集いリラックスした雰囲気の中でワインをより楽しんで欲しい、ワイナリーへの道を想いに賛同していただける方々と一緒に歩めるような機会にできればという、中村さんの想いが反映されているとも言えるでしょう。

carrariaロゴ

また、この想いはcararia(カラリア)のロゴにも表現されています。carrariaとは「轍」、「道」などを意味するラテン語で、career(キャリア)の語源といわれているそうです。キャリアとは一生懸命進んだ後に振り返ったらできていた轍のようなもの。カラリアのロゴは、ヴィンヤードに来られる方それぞれのcarraria、その交点にシャルドネを描いたものです。

「ここは都会と時の流れが違う。来てくださった方が悩みや日常の些事を忘れて、明日のへの活力を得て帰ってもらえる、そんな環境を作っていきたい。」

移住してきたとき地元の人に温かく迎え入れてもらったように、次は中村さんがその場を提供する番なのかもしれません。

取材日:2018年8月1日

千曲川ワインアカデミー1期生。50歳を前に立科町に移住し、ヴィンヤード「カラリア」でシャルドネを栽培。2017年には、ファーストヴィンテージのファミリア(樽熟成)とオポテュニティ(ステンレス発酵)をリリース。今年2018年には農林業体験民宿「カラリアハウス」を開業。ワインを飲んだあとは宿泊が可能。

(取材/文 アグリマーケティング 田中 良介)

生産者ストーリー動画

カラリアハウス MAP