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Vol.1 池田 淳一さん

池田 淳一さん
池田 淳一さん

エンジニアからワインのつくり手へ

とても朗らかな池田淳一さん。いつも笑顔で答えてくれます。

淳一さんは、千曲川ワインアカデミーの一期生。ワイン葡萄畑は長野県佐久市に位置します。この町で待望の本格的ヴィンヤードです。葡萄の樹はまだ2年目であるため、十分な果実はなっていませんが、来年から少しずつ収穫できる見通しです。

実は淳一さんとは、彼の畑以外でお会いすることが良くあります。今回インタビューさせてもらったのも、アカデミー同期生の圃場。畑作業は、一人でやると非常に効率が悪いため、お手伝いに行っているとのことです。

知人の畑に出向いて学ぶ
知人の畑に出向いて学ぶ

知人の畑に出向くのには、もう一つの理由があります。それは自分の経験を積むことです。まだまだワインのつくり手としては駆け出しである淳一さん。自分より先を行っている先輩方の畑で実務を通して経験を積みながら、将来に向けて準備をしているのです。その姿は真剣そのもの。苗木や資材なども、仲間から入ってくる情報のほうが早いと言います。積極的に情報を取りに行っているからそのような感じるのかもしれません。

すべての経験を大切に、あらゆる作業から何かを学ぶ、そんな気迫が伝わってきます。普段の気さくな感じがウソのよう。

もともとエンジニアの仕事をされていました。プリンターの開発、顧客サービス、製造、品質管理など、さまざまな業務に携わり、やりがいもありました。

支柱には間伐材を使用
支柱には間伐材を使用

しかし心のどこかで達成感を得られていなかったと言います。「もしかしたら自分はエンジニア向きじゃないかもしれない・・・」。そんな思いが募っていました。

転機が訪れたのは57歳の時です。実家の畑が使われずに荒れた状態であるのを見て、自分で何とかしたいという想いが強く湧き上がってきたのです。周りの景色や環境が美しいのに、畑は荒れ放題・・・。

飲むことが好きで、ワイナリー巡りなどもしていた淳一さん。ワインづくりは6次産業化の最たるものだと考えていました。

「自分だって本気であればできる。」

収穫のお手伝い
収穫のお手伝い

止められない想いを実現するため、勤めていた大手企業を早期退職し、ワインの道へ進むことを決断。千曲川ワインアカデミーへ飛び込みます。安定した職を捨て、この年齢からの再スタートは決して簡単なものではありません。だから自社畑を持った今でも、知人の畑へ積極的に出向き、貪欲に学び続けています。普段は朗らか淳一さんですが、農作業をしているときの真剣な眼差しは、本当にカッコいいんです。

現在栽培している品種は、シャルドネ、メルロー、カベルネソービニヨン、カベルネフラン、ピノグリ、アルモノワールなど。特に力を入れているのがアルモノワールとピノグリです。和食に合う、優しい味わいのワインを目指しています。

山好きが興じて、副業として高山植物の保護指導員の仕事もされています。森林セラピストにも挑戦したいとのこと。自然のなかでの活動が大好きなのです。

夫婦でスイスアルプス
夫婦でスイスアルプス

そんな活動とワインづくりを上手くリンクさせたいと考えています。畑の支柱には鋼材ではなく、地元のカラ松の間伐材を使っています。またできるだけ農薬を使わず、環境にも優しいワイン葡萄畑にしてきたいとのことです。

「自然との調和」―― これが淳一さんの目指すワイン作りの大きなテーマです。

佐久市では先駆者的なヴィンヤードであるため、これから町のワインづくり文化を牽引していくことになるでしょう。また将来的には息子さんと一緒にワイナリー経営をしたいと語ります。ヴィンヤード/ワイナリーの名前は、現在検討中とのことですが、頭の中には大体のイメージはあるそうですよ。

60歳を超えた淳一さんですが、まだまだ先を見据えて、夢を追いかけます。学びながら一歩一歩進む姿には清々しさを感じました。

千曲川ワインアカデミー1期生。57歳でミマキエンジニアリングを早期退職し、ワインの道へ。
力を入れている品種はアルモノワールとピノグリ。佐久市初の本格的ヴィンヤード。

(取材/文 アグリマーケティング 田中 良介)

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