【レポート】千曲川ワインバレー特区連絡協議会
事務局が小諸市から千曲市へ
千曲川ワインバレー特区連絡協議会(以下特区協)の事務局がこの4月より、小諸市から千曲市に移管されました。
2020年4月からの2年間にわたり事務局を担当されてきた小諸市農林課の佐藤工課長と柴崎尚美さんにお話をうかがいました。
※特区協は、2016年千曲川ワインバレー東地区の8市町村(上田市、小諸市、千曲市、東御市、立科町、長和町、坂城町、青木村)が連携し、地域のワイン生産者の栽培支援やワイン産業振興を目的に設立されました。
2021年11月には佐久市も加わり9市町村となりました。
事務局は東御、上田、小諸、千曲の4市が2年ごとに持ち回りで担当し、その市長が特区協の会長をつとめています。
2020年当時、「千曲川ワインバレー」のキーワードを前面に打ち出したワインイベントの企画が、上田(メルシャン椀子ワイナリー)、小諸(マンズワイン小諸工場とKOMORO WINEDAYS)、坂城を連携させる形ですすめられていました。
それまでは個々の地域で単発の開催でしたが、首都圏や県外などからの集客をツーリズムも絡めて拡大するためでした。
4市が持ち回りでつとめている千曲川ワインバレー特区連絡協議会(以下特区協)の事務局が小諸市に回ってきたのは、そんなタイミングでした。
小諸市では長い間、ワイナリーといえばマンズワイン小諸ワイナリーだけでしたが、千曲川ワインアカデミー卒業生を中心に栽培者、ワイン生産者が増え始めており、最適なタイミングと言えました。
そんな時に直撃した新型コロナウイルスのパンデミック。
例年行われてきたあらゆるイベントが軒並み中止になりました。
コロナ禍で休業した飲食店へのワインの卸販売も激減しました。
難局に直面した生産者たちを応援するため、特区協は2020年10月31日~11月4日、軽井沢プリンスホテルの協力を得て、「千曲川ワインバレーに恋する『新しい秋』」と題したワインイベントを開催。
来場者が密集しないよう、長期間開催、試飲会場と販売会場の分散化、講演会のオンライン実施など、その後のイベントでも参考になる多くの対策がとられました。
翌2021年には、小諸市糠地地区のみはらし交流館で、エクシブ軽井沢のシェフによるダイニングアウトを開催、更に10月にはメルシャン椀子ワイナリーの収穫祭、アリオ上田店でのワインフェス、さかきオンラインワインセミナー、KOMORO WINE DAYSなど、千曲川ワインバレーの連携イベントが各地で開催されました。
また情報発信の充実のため、特区協のホームページを開設しました。
特区協ホームページ:https://chikumagawa-winevalley.com
特区協Facebook:https://www.facebook.com/ChikumagawaWineValley
中でも10月23日24日に小諸駅前停車場ガーデンで開催されたKOMORO WINE DAYS 2021は、佐藤課長にとっても柴崎さんにとっても印象に残るイベントでした。
2日間にわたり小諸市、立科町の生産者11軒が参加。
少量(15cc)の無料試飲と、小諸なる小宮山酒店によるワイン販売が行われました。
生産者と来場者が会話を楽しむ光景が広がっていました。
来場者は約1,100人、ワイン販売ブースも行列ができるほどの大盛況でした。
柴崎さんは、「このイベントは初めてのことばかりで、試飲用、販売用それぞれのワイン仕入量の予測などが難しくたいへんでしたが、多くの方に喜んでいただき、達成感がありました」と言います。
イベント運営の他に、特区協では千曲川ワインバレー東地区の生産者を紹介する動画の制作や、小諸市のブログで生産者を紹介するなど情報発信にも携わりました。
2018年から農林課でワイン振興も担当することになった柴崎さんは「もともとワインに特別な興味があったわけではありません」。
そんな柴崎さんが今ではワインにどっぷり、仕事以外でも収穫ボランティアで圃場に行ったり、贈り物にワインを選ぶことが多くなったそうです。
「楽しくやってこられたのは、生産者さんたちが魅力的でやさしかったからです。ただ心残りは、なかなかイベントができず、県外から人をたくさん連れてこられなかったことです。」と言います。
4月に異動となり活躍の場を移しますが、「自分のワインの好みがわかってきた」という柴崎さんは、これからもワインファンとして千曲川ワインバレーのワインに関わっていくことを楽しみにしています。
小諸市のブログ(note):https://komoro-city.note.jp
※小諸なる小宮山酒店で取材中の柴崎さん
引き続きワイン振興に携わる佐藤課長は、「軽井沢をはじめ地元のワインの認知度が上がっている実感があります。これからは小諸のワイン振興を図る中で広域に取り組んでいきたい」と抱負を語ってくれました。
すでにコミュニティテレビこもろで、市民に向けてワインに関する番組が年4回配信されることも決まっています。
今年2月~3月には信濃毎日新聞に「komoroワインと醸す夢」と題して連載が11回にわたって掲載されました。
「この連載はこれまでの集大成と言えます」と佐藤課長。
特区協の事務局をつとめたこの2年間、小諸市自体がトップランナーとして活動されてきたことがわかります。
事務局のバトンを小諸市から受け取る千曲市からコメントをいただきました。
「ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベント等が思うように行なえずにいましたが、今年度からは状況が許せば何かしらの形で行いたいと考えています。」(千曲市経済部農林課生産振興係唐澤さま)