【生産者紹介】Komorokko Farm&Winery(株式会社Greve.t)
2022年ワイナリー設立予定、レストラン施設も
眼下に小諸高原美術館と雲海が広がる光景、「この景色がすごいんです」と写真を見せてくれた吉岡秀之社長の言葉から感動が伝わってきました。
そして、ワインづくりを始めるきっかけが8月の信州、ヴィンヤードの「ヴェレゾン」の美しさに感動したことでした。
「関西の会社が千曲川ワインアカデミーに3人の社員を送り込んでワインづくりの準備を進めている」というウワサを聞いてから約1年、なかなか具体的なお話を聞く機会に恵まれず、興味が増すばかりでした。
そんな中、小諸市で「こもろっこファーム」を営む株式会社Greve.t(グレーべ)の記事が10月19日の信濃毎日新聞に掲載されました。
小諸市が公募したPFI事業で、小諸市飯綱山公園にレストラン併設のワイナリーを開設し、運営するというものです。
*PFI事業:民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法。
地方公共団体が発注者となり、公共事業として行われる。
この案件が決定するまでは話しにくかった、という事情もあったようで、収穫も終わった10月末にようやくインタビューが実現しました。
吉岡さんと小船睦巳さん(栽培・醸造責任者)からお話をうかがいました。
株式会社グレーべは、西宮に本社をおくHetre Group(エトゥールグループ)の一事業としてぶどう栽培、ワイン醸造、野菜栽培及び販売をする農地所有適格法人です。
エトゥールグループは関西エリアと信州を拠点に、景色の楽しめるレストラン、古民家を活用したデイサービス、そして農業と多角経営をおこなっています。
これについて吉岡さんは「リスク分散です、そしてそれぞれの事業が補完し合っています」と説明されました。
それぞれの施設に共通しているのは五感で良さを感じられること。
エトゥールグループHP:https://hetre-g.jp
現在43歳の吉岡さんが初めに起業したのは、高校での専攻を生かした電気工事の建設会社でした。
その後、元々興味があった飲食店、食の提供が大切な要素の一つである福祉施設、さらに兼業農家をされていたおじいさまの影響を受けて上記の事業に直結する農業へも事業展開しました。
「ワインはどうして?」この答えが前述のヴェレゾンの景色です。
その美しさに感動して、「この景色を自分で作りたいと思った。」
吉岡さんはそれまでワインに特段の興味はなかったのですが、ふらっと立ち寄った信州のワイナリーで、年に数週間だけのヴェレゾンに遭遇したのです。
*ヴェレゾン:ぶどうの果粒の色づきのこと。
緑色をしていたものが7~8月の夏の成熟期に差し掛かることによって黒ブドウならば深い紫色、白ブドウならば透き通った黄色や黄緑色になります。
2018年にまず始めたのは耕作放棄地の開墾でした。
その翌年には吉岡社長と益田さんが千曲川ワインアカデミー(第5期)で学びました。
「土日の授業に出て、平日は本社の仕事、さらに開墾をすすめていたので、1年半は小諸と東御と尼崎をひたすら移動。かなりハードでした。」
2020年にはさらにスタッフの新津さんがアカデミーに6期生として入学。
同年、小船さんが小諸市に移住しました。
現在の圃場は約4.5ha、標高650m~950mの10カ所に分散しています。
圃場が分かれているのは、人件費やガソリン代の面では不利ですが、ぶどうの品種や品質のバリエーションが得られることと同時に、リスク分散にもなります。
圃場面積は来春の植栽で6.5haに広がります。
栽培品種はピノ・ノワール / メルロー / カルベネ・フラン / カルベネソーヴィニヨン / シラー / マルベック / ピノタージュ / シャルドネ / リースリング / ソーヴィニョン・ブラン / ピノグリ / ゲヴェルツトラミネール / ケルナー / アルバリーニョ / セミヨン
「ずいぶんたくさんの種類ですね」とお聞きすると、「標高差や土壌や品種の相互作用で、どれがどんなワインになるかわからない。だからいろいろな品種を試しています。来年はさらに別の品種を植える予定です」と小船さん。
「目指すワインのイメージは?」とたずねると、
小船さんは「目指しているとか、特に好きなワインというのはありません。テロワール、品種や苗、その時々の気候がもたらす変化、その可能性がおもしろいんです。あくまでもブドウが主役です。」
「まったく同感!永遠に冒険ですね」と吉岡さん。
ワインづくりにおいて吉岡さんが小船さんに全幅の信頼を置いていることが伝わってきました。
社員が長期にわたって誇りをもって働き続けられる環境の実現を会社のバリューとして掲げているグレーべの本質を、このやり取りによって直に聞くことができました。
お二人の小諸に対する興味と評価を伺ったところ、「景観はもちろんですが、街並みも食材も最高です。魅力ある人もたくさんいますね。」
吉岡さんと小船さんをはじめとするスタッフの冒険が、これからの小諸にどんな景色を演出してくれるのでしょう。
小諸高原美術館を擁する飯綱山公園内で2022年後半にオープンを予定しているワイナリーは、「これまでの醸造所とはまったく違ったイメージになります」と吉岡さん。
デッキのある飲食スペースや子供が遊べる遊具、ベンチ、そして農体験ができるスペースも予定しています。
写真の右から新津さん(栽培担当)、小船さん(醸造・栽培責任者)、吉岡社長、益田さん
現在グレーべは、ファーストヴィンテージワインサポーター【ブドウの苗木オーナー】を募集しています。
(株)グレーべのショップページ:https://grevet.stores.jp
Instagram:https://instagram.com/greve.t_komorokkofarm_winery?utm_medium=copy_link