【生産者紹介】コロナワクチン接種も忙しい、元京都大学病院の医師
星野勇馬さん、今年6月3回目のリリース
「〈いつものと違うのが飲みたいな。〉そんな時に手に取ってもらうワインがつくりたいんです。自然派でもなく、典型的なワインでもないので」。目指しているワインについて、ぶどう畑で星野さんはこう話されました。
東御市の鞍掛標高約600mに約1.4haの畑を管理しています。
2018初ヴィンテージ以来、混醸の赤ワインと白ワインをリリースして今年で3年目です。
そして今年は栽培5年目にして待望の、ピノノワール単一品種のワインが加わりました。
●赤ワイン「星に願いを」:
サンジョベーゼ40%、カベルネ・フラン30%、メルロー、ムールヴェドル、プティ・ヴェルド30%
●白ワイン「天の川の向こうに」:
シャルドネ60%、ピノノワール20%、ピノブラン、ピノグリ、ピノムニエ、ソーヴィニヨンブラン20%
●赤ワイン「叶わぬ夢」:
ピノノワール100%
星野さんのワインはどれも星や天体にちなんだ名前がついています。
社名もスターダストヴィンヤード。星ふるヴィンヤードは、昼間はぶどうの実が満天の星空のように実り、夜になるとこんな演出がされています。
生産本数は1年目約1,500本(2018 vintage)、2年目約2,200本(2019 vintage)、3年目約2,000本(2020 vintage)。
今年本数が減ったのは、病気でメルローが激減したせいだそうです。
この状況に対し、「コロナ禍で販売本数が減っているのだとしたら、ちょうどよかったのかもしれませんね」といたってポジティブな感想。
星野さんとは、これまで何度もお会いしていますが、話せば話すほど明るく大らかなのお人柄に惹かれます。
つくられるワインにも、当然反映されます。
今年までの生産本数は、京都の職場仲間や出身地の千葉の同級生などでほぼ売り切れていました。
今後は右肩上がりに増えていく予定なので、通販免許に加え、酒店や飲食店に卸ができる免許を9月には取得予定です。
しかしこのコロナ禍、果たして収量を増やしていいものかどうか、悩まれているようです。
京都大学病院で医師をしていた星野さんが、なぜ東御市でワインをつくっておられるのか、伺いました。
学会参加で訪れたカリフォルニア、ナパバレーで飲んだ際、「ワインは他のお酒と違う!」と感じたことがきっかけでした。
若くて果実味のあるもの、熟成して複雑さや深みあるものなど、それぞれ楽しむ体験をされました。
「つくり手の世界観や多様性が、味わいに反映するワインを自分でもつくってみたい」と思われたようです。
その後医師を続けながら、京都丹波ワインで2年間栽培の研修を受けました。ぶどう栽培の適地を求めて東御市へ。
信州うえだファームの農業研修と千曲川ワインアカデミー1期生としてぶどう栽培、醸造の講義を受けて、2016年に栽培を開始しました。
ワイングローワーとなった星野さんですが、ご縁のあったこの地域に貢献したいと、信州うえだファーム(JA)の紹介で、医師としての仕事も継続されています。
現在はできるだけ農作業に影響がない範囲でと、月に6日の当直と週1回診療所で午後診察をしています。
東御市のワイングローワーには、星野さん以外に3名のお医者さんがいます。
そして立科町には金融マンだった方が数名います。
そんな話をしていたところ、「金融の方は緻密ですから、栽培や経営も計画的にされてますよね」とおっしゃったのがとても印象的でした。
ワイナリーの設立に関しては、「5回リリースをしてみて、状況を考慮して考えたい」と語る星野さんも、同じく計画的です。
スターダストヴィンヤードのサイトには、これまでリリースしたワインの本数や混醸の詳細が掲載されています。
「混醸の割合は毎年熟考されているのですか」とたずねると、「いえ、若干房落としはしますが、採れたぶどうを全部醸造しています」とのことでした。
ボトルの中に星野さんのすべてが詰まっている、そんな印象を受けました。
Stardust Vineyard:
https://yumahoshino.wixsite.com/stardustvineyard
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