【レポート】りんごの里、立科町のワイナリー「たてしなップル」
テイスティングルームオープン
周辺に蓼科高原、白樺高原などがあり、滞在ができるリゾートに囲まれた立科町に、ワイナリー「たてしなップル」(代表:小宮山和幸さん)はあります。
信州にも春がようやく訪れた3月21日、ワイナリーに併設するテイスティングルームのオープニングイベントが行われました。
当日はいざわの畑の伊澤さん、カラリアヴィンヤードの中村さん、Abbey’s Vinesの安孫子さん、輪果ファームの山本さんもお祝いに駆けつけました。
立科町はりんごの里として有名ですが、晴天率の高さ、昼夜の寒暖差の大きさ、そして粘土質の土地であることなど、りんごのみならずワイン用ぶどうの生産にも適しています。
3年ほど前から大手ワインメーカーのサントリー社がワイン用ぶどう圃場を開園しました。
2月のメルマガでご紹介した、Abbey’s Vinesの安孫子さんも、立科町をぶどう栽培の土地として選んだ理由のひとつにテロワールの魅力をあげています。
スケール大きく開けた景色の中にりんごの畑が広がり、またその周辺にぶどう畑が増えつつあります。
オープニングイベントでは、自社醸造のシードル3種類が提供されました。
- ・フェルミエ微甘口(ビン)
- ・フェルミエ辛口(樽生)佐久平駅周辺の飲食店のみで提供
- ・ノンアルコールシードル(樽)佐久平駅周辺の飲食店のみで提供
シードルに合わせたおつまみとして、佐久穂のスモークサーモン、ボスケソのチーズ、そしてジャンボン・ド・ヒメキのオーナー藤原さん自ら生ハムを切り分けるというサービスもありました。
ゆかりの人々が地元の食材で自家醸造のシードルを楽しむ、アットホームで笑顔があふれるイベントでした。
たてしなップルは生食で有名ですが、りんごの加工によって販売チャンスを増やすため(6次産業化)ジュースやドライアップルを作ることから始まりました。
2019年にワイナリーを設立、醸造免許取得し、シードルの生産と委託醸造でワインの生産をスタート、昨年2020年はワイン用ぶどうを購入してオリジナルワインの仕込みを行いました。
2023年には自社畑のぶどうの収穫を予定しています。
醸造責任者の井上雅夫さんは、カリフォルニアで20年間醸造およびワイナリー運営に携わった経験があります。
カリフォルニアにおいてもブティックワイナリーが主流で、いかにしてオリジナリティを表現するかが課題だったそうですが、立科でのワインづくりに関しても、アメリカでの経験が十分生かせているとのことです。
課題は糖度と酒税法の違いだそうです。
のんびりしていると25度を超えてしまうカリフォルニアと比べて、立科ではなかなか20度に達しないこと、また酒税法の違いでカリフォルニアでは普通だった工程ができないことに戸惑いがあったそうです。
「ナパにとってのソノマのように、立科がとなりの東御市に負けない銘醸地になれるよう、立科町最初のワイナリーとして頑張っていきたい」と抱負を語ってくれました。
井上さんにはワインづくり、人材育成など興味深い著作があります。
- ・『ワインづくりの心得を生かす 部下を酸化させない育て方』(実務教育出版)
- ・『ビジネスの武器としての「ワイン」入門』(日本実業出版社)
- ・東洋経済オンライン
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/1本10億円のワインが誕生する「合理的理由」-なぜこれほど「ピンからキリまで」なのか/ar-AAzmDe7
ワイナリーから車で約5分、国道142号線沿いには、たてしなップルのアンテナハウス「カフェ&ワイナリーたてしなップル」があります(大きなリンゴのオブジェが目印です)。
こちらではたてしなップルのシードルはもちろん、お菓子などのリンゴの加工品、アップルパイなどが並んでおり、ランチも食べることができます。
小宮山代表は、「立科でワインをつくる皆さんのワインも、一緒に購入できる場所にしたいんです」と話されています。
マリアージュする食材にも恵まれ、周辺にリゾート地を抱える立科町は、別荘族、旅行者のみならず、ワインファンにとっても魅力ある地域になりはじめています。
ちなみに、同じ「たてしな」と発音しますが、山と高原は「蓼科」行政区は「立科町」と書きます。
りんごの木は、色白美人が紅をさしたような可憐な花を咲かせます。
この春花の季節にたてしなを訪ねてみるのもおすすめです。
ホームページ:https://tateshinapple.jp
紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=cGk-5OT6zUk&t=72s