【ワイナリー紹介】TSUIJI LAB ツイヂラボ(東御市)
慣習にとらわれない、アイディアのワイン研究室(ラボラトリー)
湯楽里館の敷地内にあるツイヂラボでは千曲川ワインバレー地域にある9軒の生産者の13キュベ(樽やタンク)が熟成中です。
仕込まれたぶどうの種類は15品種になります。
2020年8月に完成したツイヂラボは東御市和にある温泉施設「湯楽里館」の一角にあります。
東御市農産物直売所ゆらり市の加工施設だった建物を改修したものです。
「その手があったか」と驚いた方も多かったのではないかと想像します。
湯楽里館は日帰り温泉施設ですが、オラホビールの醸造工場、物産店、ワイン&ビアミュージアムが敷地内にあります。
現在実証実験中の巡回EV(電気)バスのバス停もあり、人が集まりやすい条件が揃っています。
ツイヂラボの醸造責任者は須賀貴大さん。
「ここにぶどうを持って行ったら作りたいワインをつくってくれる」そういう仕事がしたいと言っています。
「今年はある意味ワインづくりの駆け込み寺でした」というのは、今年は収穫量が100kgでも(一番少なかったのは8kg)ワイン醸造を受け入れたからです。
今回のメルマガでは、須賀さんにスポットライトを当てることで、ツイヂラボのワイナリーとしてのユニークさを探っていきたいと思います。
「自分の役割はワインの育ての親です。生みの親はぶどうを持ち込むグローワーさん。どんなワインにするかは生みの親であるぶどう農家さんが決めるんです。ぼくはこれまでの経験を駆使して、全力で希望に応えていきます」
それを可能にしているのは、31歳と若いながら須賀さんのワインづくり遍歴(!)が独特で多岐にわたることにあるように思います。
2016年から2020年8月までの間に日本、ニュージーランド、オーストラリアでワイン作りに携わっていました。
ワイナリーで働いていただけでなく、2019年からはオーストラリアでPlus Personal Winesを設立し、農家からぶどうを仕入れ、自分のワインを仕込み始めました。
北半球と南半球で1年に2回ワインを作るという壮大なビジョンです。
オーストラリアではワインを語る時、気候風土よりも作り手の個性や感性、すなわち醸造におけるテクニックや考えが話題になります。
例えば、「これはチャールズのワインだ」のように、人にフォーカスされることが多いそうです。
畑に厳格な等級があるフランスのワインがワイナリー名やワイン名が話題となるのとは違っています。
須賀さんのFacebookの写真で過去に遡っていくと、大学卒業後フォトジャーナリストを目指していた時の作品(パリのファッションショー)が見られます。
フォトジャーナリストを目指すならパリ、とパリでフリーランスとして働いていた時のもので、そこでグルメ雑誌の仕事についたことからハタチそこそこでシャンパーニュ地方、ブルゴーニュ地方の“美味い”ワインを飲んだことがワイン作りにつながっていきます。
Facebook:https://www.facebook.com/takahiro.suga.31
また、海外での須賀さんのワインづくりについて興味のある方は下記のリンクに紹介記事がありますので、ご覧ください。
パート2
https://blog.gcsgp.com/japanese-wine-maker-part2.html
パート3
https://blog.gcsgp.com/japanese-wine-maker-part3.html
東御市でやりたいことはと尋ねると、「日本のワインづくりにとても興味があります、それといろんな品種を見たい」と話されました。
こちらではあまりないように感じる生産者さん達との交流もしたいそうです。
どこを目指しているのですかと質問すると、
「おいしくておもしろいワインがつくりたい」
「でもワインづくりだけじゃないんです、今生ハムを仕込んでいまして、3月からは東京でビール醸造を勉強してきます」
将来、自分の作ったワイン、ビール、日本酒、そして生ハムやパンが並ぶテーブルが目指している生活だそうです。
ぜひ千曲川ワインバレーのどこかに「タカの店」を作って欲しい!
最後に、須賀さんが仕込んだ2020ヴィンテージについてうかがいました。
「昨年は7月に雨が多く、8月は厳しい暑さ、そして9月は期待したほど気温が上がらずと、短期間で天候不順の続く栽培シーズンでした。糖度が上がるのを待って収穫を遅らせる一方、病果が増えてしまうので、手間と時間をかけて選果したことで健全な収穫ができました。味は期待できます。」
リリースを楽しみに待ちたいと思います。
TSUIJILAB:https://www.instagram.com/tsuijilab/