~ 平成から令和へ ~
皇位継承で、令和時代の幕が開きました。
新元号には、美しさの最上級の言葉である「〈令(うるわ)しい〉平和を築く」という意味が込められていると、考案者の国文学者中西進氏は語っています。
玉村豊男さんが「千曲川ワインバレー」-新しい農業への視点-を上梓されたのが2013年、千曲川ワインバレープロジェクトが始動したのが翌年の2014年でした。
「シルクからワインへ」を合言葉に、平成時代最後の5年間は、千曲川ワインバレー東地区では、8市町村の「広域ワイン特区」が政府認定され、玉村さん主導による「アルカンヴィーニュ」設立と「千曲川ワインアカデミー」の開講。
さらにしなの鉄道社社長に2016年就任された玉木淳さんのリーダーシップで、軽井沢から千曲川ワインバレーへの誘客プロモーションが、積極的に展開されました。
こうした連続的な地域イノベーションや、大手ワインメーカーが産み出す「千曲川ワイン」が、国内外のワインコンクールで常に上位入賞を果たすなど、『千曲川ワインバレー』の認知度は、年を追うごとに急速に上がりました。
平成時代特筆すべきは、2015年開校した「千曲川ワインアカデミー」の卒業生及び在校生数が、1期生から5期生までで、126名に達したことです。
すでに千曲川流域に自らの圃場を確保し、欧州系のブドウ栽培に入ったワイングロワー(ブドウからワインを育てるひと)が、40名を超えていることも、令和時代に向けて大きく夢が膨らみます。
~ 令和時代に期待すること ~
広域ワイン特区の中で、ダントツにワイナリー数が増えたのが東御市で、現在9社となりました。
さらに東御市は、御堂地区の大規模ヴィンヤード(約28ha)の分譲も昨年終わり、今春より第1工区の定植が始まりました。
来年は第2工区も本格稼働します。3〜4年後の東御市のワインぶどうの収量やワインの生産本数、ワイナリー数とも、飛躍的に増大しそうです。
同じ東御市の話題としては、温泉施設やクラフトビール“オラホビール”のブルワリーがある「湯楽里館」に、4月11日に「ワイン&ビアミュージアム」がオープンしました。
この地域が誇る歴史ある日本酒、味噌醤油の《醸しの文化》を厚くする、新たな時代の到来を示唆しています。
隣接する小諸市では、昨年市経済部農林課が事務局を務め、「小諸ワイン委員会(KWC)」が発足しました。
46年の歴史を持つ、マンズワイン社小諸ワイナリーは、今やプレミアムワイン「ソラリス」のワイナリーとして有名です。
今まで同ワイナリーの2日間の収穫祭以外はワインイベントに乏しかった小諸市が、昨年秋から今年にかけて、KWC、千曲川ワイン倶楽部(CWC)、信州大学が協力して、半年間で3回のワインイベントを開催しました。
アカデミー卒業生を中心とした「小諸ワイングロワー倶楽部」の活動も、小諸市在住のマンズワイン社OBに指導員をお願いし、日々研鑽に励んでおります。
小諸市のワイングロワー数は年々増え、委託醸造によるプライベートブランドワイン数も、漸次増える傾向にあります。
小諸市の場合、マンズワイン社小諸ワイナリーを中核に、御牧ケ原地区、糠地地区の新たな有力圃場に、二桁のワイングロワーが入植しています。
昨年御牧ケ原地区に設立された中棚荘が経営する「ジオヒルズワイナリー」に続く、ワイナリーの設立計画も進んでいます。
上田市では、待望のメルシャン社椀子(まりこ)ワイナリーが今秋竣工します。
マリコヴィンヤードブランド「オムニス」は、伊勢志摩サミットディナーでG7首脳に供され、2018年度日本ワインコンクールでも部門最高賞を獲得しました。
上田市メルシャン社「マリコヴィンヤード」、東御市ヴィラデストワイナリー社「ヴュニロンズリザーブ」、小諸市マンズワイン社の「ソラリス」と、隣接する3市に日本を代表するプレミアムワインが誕生しております。
『千曲川プレミアムワイン銘醸地』として、地域がどう連携してブランディングに取り組んでいくかが、いま問われ始めています。
広域ワイン特区の中でも、特に中心となる東御市、小諸市、上田市が連携して牽引役を果たすことが求められています。
平成と令和の時代の違いは、一体どこに見出せるでしょうか?
私は縦割り行政による「絶対価値の細分化」の平成から、地域がつながることで「絶対価値の最大化」を実現する令和に、舵取りを切り替えていくことが肝要と考えております。
《令(うるわ)しい調和》の時代に相応しい地域創生に、CWCはこれからも積極的に取り組んでまいります。
アルカンヴィーニュフォーラム
「千曲川ワイン倶楽部」
代表 小山 眞一